すずめの戸締り初回感想

 

ブログのネタが映画のレビューしか能がないあみゃです。お久しぶりです。

 

今日は新海誠監督最新作すずめの戸締りを観てきました。

私が新海誠監督と出会ったのは小学生の頃、今でこそ景色の描写が美しいアニメ作品(特に、電車とかコンビニとか日常的な風景がすごく細かく書かれているような)はかなり増えましたが、当時は実際に存在する場所がアニメに登場することすら珍しいことだった気がします。それが当時私にはなんかワクワクできて、話の内容はよくわからずともとりあえず見よう!と思って見てしまったが最後、私のこじらせ人生はそこから始まったのでした。

 

前作までの話をしているときりがないので、早速今作の話に移ります。

綺麗な映像で幻想的なSF作品をイメージして見に行ったけど、とりあえず今回のテーマは生と死なんだと思います。そう思って聞くと、主題歌の歌詞もなるほどね…となります。

 

内容に触れずポイントを3行でまとめると、

①極めて現実にリンクした事象と非現実的な出来事の交錯

②音響と映像の暴力的すぎる演出

③映画内で広告に使われている(使ってもらっている?)企業の量がえげつない

といった感じです。

何を言ってもネタバレになりそうなので、この3行についてだけ書いてあとは見に行ってくださいという感じにします。

 

①極めて現実にリンクした事象と非現実的な出来事の交錯

時間軸や場面設定は私たちが暮らしている現実世界と同じです。当たり前に登場人物はLINEを使っているし、立教の学生証が白地に紫のデザインで、ローソンに色んな味のからあげクンが売っています。(からあげクンについてはまた後ほど言及)ただ、この映画の企画書が完成したのが2020年4月だったので、コロナは出てきません。ただ、コロナに関して作中で特に言及はされていないものの、登場人物の家の玄関に手指消毒の四角いアルコールが置いてあったのを私は見逃していない。もはやない方が違和感になってしまったアルコール消毒を気持ち程度に出演させてくれたのでしょうか……

現実にある場所や物がそのままアニメに出てくるってだけで、どうしてこうも人はテンションが上がるのか。その謎を解き明かすために、今回はアラスカにやってきました。ひとつ文句があるとすれば、作中に登場した病院は慶応ではなく医科歯科でした。モニターに波形が出ているのに心電図のコードは繋がっていませんでした。お前その波形はどっから受信してんだ。てかなんでコードを書くところまでいったのにそれを繋げずにぶら下げちゃったんだ。そのくらいです。

秒速5センチメートル(a chain of short stories about their distance)の時から新海誠監督はとにかく駅構内や電車内の描写を緻密に書いています。電車=エモの象徴であるという彼の価値観があるのかもしれないし、私が路線図とかが好きなのはその影響が少なからずある気がします……

しかし、予告編をチラ見すればわかるように、普通にSFアクション要素も多いです。基本的に私はそういう作品があんまり好きではなく、限りなく現実的で日常的なものが見たいのが本音だったので今作にはそんなに期待していませんでした。秒速5センチメートル(a chain of short stories about their distance)では物が歩いたり動物が喋ったりしません。超能力もありません。新海誠監督の集大成にして最高傑作とまで謳われていることに疑念を抱きながら見に行ったのが正直なところです。(急なピカクロス)

ただ、私(わたくし)の解釈と致しましては、作品の全てが現実に起こったことでした。現実に起きていることを、比喩的に、幻想的に、情緒的に、一見素っ頓狂に見えるような設定で見事に表していたのではないかと思います。集大成という表現が妥当であるとすら感じて帰ってきたので、思わず「新海誠、こう来たか(CV:孤独のグルメ)」と思ってしまいました。だがしかし話が重い。とにかく重い。地上波は厳しいんじゃないかというくらい重い。満足感が大きい代わりに、精神が疲弊する、最近の若者の言葉で言うとSAN値が削られるような映画でした。

ただ私がどうしても伝えておきたいのは、主人公が旅路でたくさんの優しい女の人出会うことが非常に尊くて素晴らしいということ。これについては昨日観た映画が「やはり、男は本当にクソ」という結論しか得られなかったので、より一層「女って最高👍」と思い直すこととなりました。

 

②音響と映像の暴力的な演出

前作までに引き続き、今回も音楽はRADWIMPSが担当しています。個人的に好きなのは、エンドロールやCMで音楽:RADWIMPSという表記がされているところです。個人名ではなく、グループ名で書いてあるのがなんとなくカッケェし、アチィ〜。って思います。(KONAMI

竜とそばかすの姫などがそうだったように、映像がメチャクチャキレイで音楽がメチャクチャカッコよくて迫力があると、正直もう詳しい内容はどうでもよくなったりします。それだけで人の感情は動きます(それを感動といいます)。もちろん竜とそばかすの姫は内容も面白かったですが…

新海誠作品に限らず、私は作中でタイトルが画面いっぱいに出てくる一瞬がメチャクチャ好きです。伝わるかな。特に音楽が止まってタイトルがヒュンッて出てきたり、逆にタイトルと同時にバーンと主題歌が流れたり、そういう迫力に非常に弱い。今作は、そういった言わば感覚的な感情への訴えかけの演出の連続であり、その暴力がこの作品の充実度を何倍も上げていると思います。特に、君の名は。ではRADWIMPSのかっこいい音楽が流れて思わず圧巻というシーンが多かった一方で、今作はルッル〜ルルルル〜のという謎の落ち着いた戦慄で心に訴えかけてくるパターンの音楽です。明るく盛り上げることも、静かに山場を飾ることもできる天才、野田洋次郎を皆様今後ともよろしくお願い致します。

 

③映画内で広告に使われている(使ってもらっている?)企業の量がえげつない

これは本当に、映画を見ながらこんなことばっかり考えてる自分がいやらしかったが、街中のチェーン店や実際に売っている商品が今までよりもさらに多く登場して、権利の問題ってどういうふうに成り立ってるんだろうという疑問をずっと感じていました。マクドナルドに関しては今回ガッツリCMでコラボしていて、ハッピーセットのおもちゃまで出しちゃってるくらい癒着がありそうな感じでしたが、まさかの普通に作中でマック食べてました。これみよがしに子どもがえだまめコーン食ってました。あれ美味しいよね…

あとは先述したからあげクンとか、果汁グミも出てきたし、auの看板とかもあった気がする。その割に牛乳パックのパッケージは実在するか謎のよくわからんデザインで、そういうロゴとかの問題ってめちゃくちゃ大変なんだろうな…と感じながら見てました。でも、そのひとつひとつを忠実に書いている人がきっと何人もいて、そういう細かい描写を私は見逃さずにいたい。本当に今日2時間通しで見るの疲れちゃったからもう映画館では見ないかもしれないけど、いつか配信とか出たら小物に注目するだけの上映会を実施したさあります。

 

サクッと書こうとしたのに3000字もいってしまった。ここまで読んでくれてありがとう。あんた暇なんだね。ノーストップで書いたので誤字脱字あったらスミマセン。

極力内容の核には触れずに書いたつもりですが、ちょっとでも見ようかなという気持ちになってくれたら3000字が報われます。是非映画館に足を運んで私と語り合おう。

 

 

adios