花束みたいな恋をした

 

おはようございます。あみです。

 

今日は先日1/29に公開されたばかりの「花束みたいな恋をした」通称はな恋の感想を書きたいと思います。

途中まではネタバレなしで書くので、見に行く予定の人は自衛しながら読んでください。(ここでは、140秒予告に含まれる内容はネタバレに含まないとします)

<参考>140秒予告

https://youtu.be/I7BIENRbF2g

 

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私はこの映画を、男友達と見ました。その人が誰とか、今後付き合いそうなのかとかは一旦置いておきます。それはまた追追。

 

とりあえず、これは恋人とは見に行くものではないなという感想。恋人と見るはな恋、重いよ…。付き合って早々のアツアツな2人が見たら将来に不安を抱くし、もうマンネリにマンネリを重ねた冷えきった2人が見たら色んなことを助長しかねないという感じ。

 

ただ、異性と見に行くことには大いに賛成であります。というのは、男性目線・女性目線で感想が綺麗に分かれると思うから。といっても恋人じゃない異性とふたりで見に行くってのもなかなか難しいな。いい感じの人をデートに誘って見るって感じのものでもないし、こう、信頼がおけるかつそれなりに恋愛経験のある適当な異性を見つけて行くのがいいかしら。もちろん同性で見ても感想言い合うのは盛り上がること間違いなしと思うけどね。

 

とりあえず予告編にあるような簡単なあらすじとしては、

・大学生ふたりが

・付き合って一緒に住んで

・別れる

という話です。簡単!

 

このふたりが出会って付き合うに当たって、色んな趣味が一致して共通点ばかりでっていうくだりがかなりあるんだけど、正直なところそれがちょっとくどかった。「そんな被ることある?」っていう。そこだけちょっと現実味がなくて個人的には惜しかったなという感想でした。

 

でも、それを除けば文句なしのリアリティ。特に何をするわけでもなく家でダラダラするシーン、そんな平穏な生活の中に現れる就活という敵、お金がない学生なりの決して豪華じゃない生活風景、とっても庶民的で普遍的。あと、理想の恋愛っていうわけじゃなくて、これは本当に男の最悪なところと女の最悪なところが綺麗に再現されていて、喧嘩のシーンなんかは自分が恋人と喧嘩してる時のイライラ、モヤモヤをかなり鮮明に感じることができます。

 

私は色んなセクシャリティの視点で男とか女とかを見ることができると思ってたけど、この映画を見てると彼氏側のことが本当に本当に憎たらしくて、男ってマジでわかってないなと思うばかりでした。結局私も女性脳なのね。その証拠に、一緒に見た友人男は終始彼女側の主張が理解できなくてイライラしたと言っていて、同じ映画を見てここまで感想が分かれるものかと面白かったです。

 

 

▧ ▦ ▤ ▥ 若干のネタバレを含みます、下まで飛んでね▧ ▦ ▤ ▥

 

私が1番最悪だったシーンを紹介します。

 

就職した彼氏とほとんどフリーターみたいな彼女が仕事の価値観で揉めるシーンがありました。かなり喧嘩は白熱。彼女は「私は好きなことをしてたい やりたくないことはやりたくない」みたいな趣旨のことを言い放ったあとの、彼氏の「じゃあ結婚しようよ それで俺が働くからお前は家で好きなことしてなよ」。

もう、これが最悪の最悪の最悪だった。4、5年付き合って最初のプロポーズがこれ。

思わず彼女は「それって、プロポーズ?」と涙目。「なんか想像してたのと違った」。

私も一緒に泣きそうになった。だって、いくらなんでも最悪すぎる。

だけど彼氏は自分の今の言葉の重みをまるで理解せず、あたかも彼女が急に論点を変えたみたいな反応。彼女が論点を変えたんじゃなくて、たった今のお前の発言によって論点は変わったんだよ。本当に最悪。

 

結局、学生時代に付き合ったふたりが、お互い違う形で社会に出ていく過程で価値観が変わったり、飽きたり、っていう変化が起きてダメになるという話なんですね。非常にどこにでもある、何の変哲もないラブストーリーといったらそう。

 

次に最悪だったのは、別れ話のシーン。

お互い覚悟を決めて来たはずなのに、別れが成立したところで急に「やっぱり俺別れたくない」。この時ばかりは映画館で立ち上がってコーラをスクリーンに向かってぶちまけそうだった。

これまでお互いに散々考えて、考えて、考えた結果にやっと話が煮詰まったところで、思い出したようにそんなことを言い出す麦の浅はかさ。最悪。

それと同時に、言葉ではそんなふうに言っても、お互いに自分たちはもう絶対にこれ以上はダメなことがわかっているという悲しさ。別れる事実自体よりも、もう無理だということが、昔のふたりとは明らかに違うということが自覚できてしまったことの辛さ。ふたりが自分たちに絶望した瞬間の涙は、思わず一緒に絶望して泣きました。

 

あと、最悪というよりキッツ…と思ったところは、今日別れ話をするってお互い決めてた日のデートのふたりの楽しみよう。

もう今日別れるって決めてる分、面倒なことは気にせずただただ楽しんで、そうすると皮肉なことに出会ったばっかりの時みたいな楽しさがあって、でもそれはもう別れるって割り切ってるから再現できたもので、、、、しんどすぎる。だからこそ、そのデートの記憶が最新にある彼氏はやっぱり別れたくないなんて寝言を言い出した始末だけど、それをちゃんと「それは今日が楽しかったからだよ」と言えたきぬちゃんの強さ。かくも女は強くあるべき。

 

それと、もうひとつ。ふたりが静岡のさわやかハンバーグに並んだけど時間が無くて結局食べられなかったというシーンがあるんですが、別れてから彼氏が言うんですよ。「ごめん、俺実はあのあとさわやか食べに行ったんだよね」。めちゃくちゃ申し訳なさそうに言うの。

そしたら彼女、「私も食べたよ」って、なんの躊躇いもなく言うのね。それを聞いた彼氏の顔。麦は自分の方が多く隠し事をしてて、複雑で、色々あって、きぬちゃんは常に俺の目の届く範囲にしかいないと勘違いしがちだと思ってたのかな。それが顕著に現れていたシーンで面白かったです。

 

▧ ▦ ▤ ▥ ネタバレ終了▧ ▦ ▤ ▥▧

 

 

なんだかここまで最悪最悪いってますが、私はとっても面白かったです。見に行ってよかった。

おそらく本編120分ちょうどくらいなんだけど、それよりもっともっと長い映画を見てるような感覚だった。それは退屈だったわけではなく、それだけ濃密な時間だった。

 

面白い面白くない・泣ける泣けないといった話は、結局のところどこにどれだけ自己投影させるかという話になると思うんだけど、結局血液型の本や占いみたいなもので、色んなところに色んな人に当てはまる普遍的な要素を散りばめることによって誰もが「これって私のことだ」って感じられるような作りになっているのね。この映画に関しては、傍から見てて感動するとか泣けるとかいうより、自分の嫌だった昔のことと重なったり、これからの自分に起こりそうな絶望の可能性を感じたり、そういう共感があっての喜怒哀楽・感想になるかと思います。

 

あとは、広い範囲のサブカルチャーをちょこちょこ分布させて、自分が知ってるものが出てきたらちょっと優越感が感じられるような構造。少しアンダーグラウンドな趣味を持っていると思っているイキリ大学生を綺麗にターゲットにしているなーと思いながら、6割くらいわかって優越感だったイキリ大学生女でした。自覚あり。

 

そして、言わずもがな有村架純がサイコーすぎる。

この世で1番好きな女優は有村架純なんですが、やはり有村架純だなと痛感しました。この世は、有村架純です。有村架純が好きになる映画と言っても過言ではない。

 

これから見に行く予定だった人は是非行って欲しいし、そういうつもりじゃなかった人も見ようかなという気になってくれたら嬉しいです。

2回目全然行くので、お誘いもお待ちしております。

 

ではまた。

 

 

追記

 

こんな思いつきで書いたような感想じゃ全く足りないくらい、かなり細かい演出やセリフ運びにこだわってる映画なので、是非一度見ていただき、解説・考察してる様々なYouTuberやブロガーを見て欲しいという気持ちでいっぱい。そのくらい繊細な映画でした。